鍼やお灸について
鍼やお灸について
脳卒中専門鍼灸師が教える『東洋医学の五行説』
いつもイライラしているな。爪にスジが入って色が悪いな。
目が疲れやすく、かすんでいる。力が低下してふるえている。
「肝」の臓に問題がおこっているのかな?
耳鳴りがする。聞こえにくい。物忘れが多いな。
髪が白くなってきた。体に力が入らないな。
足腰が弱くなり転びやすくなったな。
「腎」の臓が上手く働いていないのかな?
症状を聞いて、カラダや動きを見て、どの臓に問題があるのか?
様々な情報が5つのどれにあてはまるのか考えます。
その分類を分けるのに役立つのが「五臓の色体表」です。
五臓の色体表
五臓の色体表は、古代中国で生まれた世界観「五行説」から考えられ、
宇宙に存在するすべてのものを5つの要素に分けています。
木はこすれあって火を生じる。
火が燃えると、灰と土ができる。
土の中に金属が埋まっている。
金属の表面には水滴ができる。
水を与えると木は成長する。
5つの要素は、それぞれ生む生まれるの関係にあり、
循環し、それぞれの要素が次の相手を強めるように作用します。
これを相性作用といいます。
自然、人間のからだの状態、その関係と機能が説明できると言われます。
五臓と対応するもの
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
五腑 | 胆 | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 |
五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |
五季 | 春 | 夏 | 土用 | 秋 | 冬 |
木 - 植物が芽吹き、成長していくようす。
万物が生じる春の象徴です。
「肝」には、気をのびやかにめぐらせる作用があります。
肝が貯蔵している血が心を養い、気をめぐらすことで脾が機能します。
火 - 火が燃えているようす。熱の性質。
万物が成長する夏の象徴です。
「心」には、からだを温める作用があります。
心の熱が脾を温めます。
土 - 大地の象徴。万物を育て、保護します。
季節の変わり目の象徴であり、四季それぞれとかかわります。
「脾」は栄養分をつくりだします。
金 - 金属のように、堅くて鋭く光り輝く性質をあらわします。
収穫の季節、秋の象徴です。
水 - 泉から湧く水をあらわします。
土中の水は万物を生み生命を育む。冬の象徴です。
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
五竅 | 目 | 舌 | 口 | 鼻 | 耳 |
五主 | 筋 | 血脈 | 肌肉 | 皮 | 骨 |
五華 | 爪 | 顔面 | 唇 | 体毛 | 髪 |
五志 | 怒 | 喜 | 思 | 憂 | 恐 |
五色 | 青 | 赤 | 黄 | 白 | 黒 |
たとえば、火の属性をもつ「心」。
火には、舌・脈・顔面なども所属し、影響を受けやすい時期は夏です。
心は常に血を循環(脈)し、夏によく働くといわれています。
顔面に血脈が集中しているため、色の変化が表れやすく
喜びすぎると心を痛め、舌に症状がでると発語や味覚の異常がでます。
五臓の異常や関連するカラダの部位、症状などを5つの要素に分け
鍼灸治療を考えるときに見やすくしたのが五行色体表です。
脳梗塞・脳出血などの鍼灸は、病気・症状そのものも施術対象になりますが、
その方の本来の身体の強さ弱さも考えます。
皮膚が黄色いな。季節の変わり目に調子が悪くなるな。
全体的にむくみが強いな。ぶよぶよゆるみがあるな。
思い悩んでいるな。この人の体質は「脾」が弱いのかな?
こんなふうに色体表を利用して鍼灸施術に生かしています。