一覧

  • HOME
  • 脳の仕事その4 視覚・自律神経・脳の可塑性・リハビリ

脳の働きを知る

脳の働きを知る

脳の仕事その4 視覚・自律神経・脳の可塑性・リハビリ

前回の続きです。

前回までの内容はこちら。

脳の仕事その2 大脳基底核・中脳・橋・小脳・リハビリ

 

脳の仕事その3 動脈・静脈・感覚・リハビリ

 

 

それでは大脳における情報処理はどうなっているのでしょうか。

大脳における情報処理を随意運動と、視覚刺激に反応しての運動とし、機能分担を示します。

随意運動は

前頭葉の最前部にあり前頭前野があります。

外来刺激の意味理解、洞察、意思決定、作業記憶を、その後方に運動前野や補足運動野があって運動プログラムを、中心溝のすぐ前には一次運動野があって、運動の方向や力の調整を行なっています。

習熟した運動には小脳の関与が大きいです。

随意運動は中枢プログラムで行われています。

視覚系の情報処理は、多くの異なる機能を持つ神経回路で分散して処理する並列処理の代表です。

視覚情報は、網膜で空間視情報(M系)と形態視情報にわかれていて、外側膝状体、視放線、後頭葉、一次視覚野(V1)に伝えられます

さらに、対象の動きや位置に関する情報は中側頭回(V5)や頭頂連合野へ、色彩や形態の情報は紡錘状回(V4)や下側頭回で処理されて、前頭葉などの他の領域に送られます。

頭頂葉の一次身体感覚野は身体の感覚を、その後方が肢位や空間視系の情報処理を行なっています。

 

 

視覚情報は他の領域に送られますが、これらの領域にはその領域独自情報だけではなく、視覚情報にも反応する細胞が存在します。

頭頂葉では、特定の肢位になった時に興奮する細胞の一部はその肢位を見ただけで興奮するし、運動前野では、特定の動作をするプログラムをもった細胞の一部は、その動作あるいは動作の対象となった道具をみただけで興奮する視覚運動細胞です。

これらの細胞の存在は他人の動作の模倣や対象にあった動作の準備をしています。

 

 

末梢神経とは、脳・脊髄から身体各部に至る神経で、脳神経と脊髄神経からなり、身体各部を神経支配しています。

機能的には、運動と感覚に関与する体性神経と自律神経に分けられます。

 

体性神経とは、中枢神経から末梢器官へ情報を伝える遠心性神経と末梢器官から中枢神経に情報を伝える求心性神経に分けられます。

体性神経は、脳神経12対、頸神経8対、胸神経12対、腰神経5対、尾骨神経1対があります。

脊髄に後方から入る後根お後根神経は感覚神経で前方から出る前根は運動性で全身の筋を支配します。

脊髄の各分節に入る感覚神経とその皮膚の支配領域の皮膚の間に対応があり、皮膚分節といいます。

 

自律神経はすべての遠心性神経で、胸髄と腰髄から出る交感神経と脳と仙髄からでる副交感神経にわけられます。

自律神経は無意識のうちに自律的に働き、一般的な傾向として、交感神経は緊急時に、副交感神経は安静時に働きます。

交感神経節への節前線維は第1胸髄より下位からでており、頸髄からは出ていません。

そのため頸髄損傷では自律神経反射などの過反射などの障害が起こります。

 

つづいて脳の可塑性について書きます。

脳にも脳室上衣化下細胞や矢状回に神経幹細胞が存在するが、大脳皮質や脳幹、脊髄の重要な役割を担う大型の神経細胞ではなく、海馬回など小型の神経細胞へ分化します。

中枢神経損傷では損傷部と正常組織の間にアストロサイトを中心とするバリアーが形成され、再生軸索の伸張を困難にしていますが、再生医療の目標の一つである神経幹細胞や神経細胞の移植は再生軸索の伸張を容易にする為、移植された神経細胞が神経路の形成に加わらなくても、機能回復に役立つと考えられています。

 

神経組織が損傷されると、末梢側の軸索は変性(ワーラー変性)して消滅します。

しかし軸索を囲んでいたシュワン細胞は生き残ります。

挫滅傷の場合、細胞体側の軸索からの再生軸索はもとの軸索があった髄鞘内ではなくシュワン細胞の間隙に沿ってもとの標的細胞へ伸びますが、シュワン細胞の連続性が断たれた開放性損傷の場合、再生軸索はランダムに伸びて異なった標的細胞に伸びる事になります。

この解放部分に神経細胞やシュワン細胞が補充されると、再生軸索の標的細胞への伸展が容易になります。

このかていには多くの神経栄養因子や接着因子が関与しています。

神経の可塑性とは、1つの機能をもった神経が別の機能を持つようになる事を意味します。

脳損傷後の機能回復に重要な役割を担っているが、動物実験での可塑性の証明にかかわらず近年までヒトでは大きな可塑性はないと信じられていたため、麻痺など神経損傷による症状の回復は期待できないとされてきました。

しかし、MRIなどのイメージングの発展によって、ヒトでも脳損傷後の機能回復に損傷部に代わって新たな機能を担う部位が生じている事が明らかになりました。

猿での画期的な報告は頸部で一側前脚からの感覚路を頸部の後根切断を行ない十数年後には前脚の感覚野は顔の受容野に変わり、その後の前脚と顔面の境界の移動は十数ミリに及びました。

 

それまで猿の脳での可塑性発現位よる支配野の境界の移動は1~2mm程度と考えられていたことから、可塑性の関心が急速にたかまりました。

ヒトにおいても、大脳半球切除後に残された半球に右手と左手の運動中枢が形成されることや、先天盲の例で視覚情報処理を担当する後頭葉、頭頂葉連合野が触覚などの身体感覚の処理や点字の読みを担当することが明らかになっています。

 

麻痺や感覚障害、高次脳機能障害をふくめて、神経損傷による機能障害の回復には可塑性が関与しているが、機能回復を促進するには神経路の再建強化の過程であるシナプスの伝達効率の向上、神経栄養因子放出による組織的結合強化の過程を促進するため、再建強化したい神経路への興奮伝導を反復することが不可欠です。

 

 

神経の再生には「反復」が大切です。